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株式会社エム・エイ・エス
(大阪府大阪市)

速水さん、桝さん
株式会社エム・エイ・エスは、1999年(平成11年)に創業、2013年に法人化し、総合建築業とアパレル事業という2つの事業を展開している。
従業員数は27名(2026年5月現在)。建築部門は40代後半から50代のベテラン層が多く、アパレル部門では20代から40代まで幅広い世代が活躍している。
今回は、代表取締役の桝和也さんと、管理部労務人事課の速水裕子さんにお話を伺った。
新しい人材をさらに受け入れていくために、健康経営の取組みを通じて、企業としての体制を整えていることを外部にも示している。
まず、健康経営やメンタルヘルス対策に取り組むきっかけと取組み内容などについてお話を伺った。
小さな会社でも“信頼のおける企業”を目指し、職場環境づくりを推進しています
「健康経営やメンタルヘルスなど、職場環境づくりに積極的に取組み始めたのは、これから新しい人材を、さらに受け入れていくにあたり、小規模な会社にありがちな“アットホーム”、“身内感覚”といった雰囲気から脱却し、“企業として信頼がおける体制”を外部にも伝えていきたいという思いからでした。」
「そして、2023年に“健康経営優良法人(中小規模法人)”の認定申請を行い、2024年から毎年認定を取得しています。当初は手探りの状態でしたが、2024年に新たに担当者(速水さん)が入社したことで、より具体的な取組みが加速しました。」
従業員“一人ひとりの声をどう拾うか”を大切にしています 「例えば、当社は現場ごとに従業員が動いているため、日中に全員が集まる集合研修の実施は困難です。そこでオンライン学習システムを導入し、業務関連の知識だけでなく、ハラスメント、リーダーシップ、メンタルヘルスなどについて、従業員が自分のタイミングで動画を視聴し学べる環境を整えています。」
「一方で、これらの健康経営やメンタルヘルスの考え方が全員に浸透しているかというと、まだ課題も残っていると思っています。積極的に取り組む従業員もいれば、『面倒だ』と感じる従業員もおり、少人数であっても意識の差はあります。事業内容も働き方も異なる組織だからこそ、“一人ひとりの声をどう拾うか”を大切にしています。」
外部の無料サービスを活用して、従業員数50人未満でもストレスチェックを毎年実施。個別相談へのきっかけにも活用している
次に、ストレスチェックの取組みについてお話を伺った。
個人が特定されないよう十分配慮して実施しています 「当社では、従業員数50人未満ですが、2023年から毎年ストレスチェックを実施しています。健康経営の取組み項目にストレスチェックがあったことがきっかけです。2024年からは、公認心理師でありストレスチェック実施者の要件を満たす私(速水さん)が実施者となり、無料のWebサービスを活用して社内で行っています。職業性ストレス簡易調査票(57項目)を使用しており、個人結果を見た従業員から『ちょっと時間がほしい』と直接相談に来ることもあります。」
「全体の従業員数が少ないため、仕事のストレス判定図などの集団分析を行う際は、個人が特定されないよう細心の注意を払っています。建築部門とアパレル部門といった大きな単位で分析した上で役員に情報共有し、対応を検討しています。」
「当社では、ストレスチェックを“結果を見るだけのもの”とは考えていません。会社全体の結果は決して悪くありませんが、少しでも気になる項目があれば、まずは現場に直接足を運び、職場環境を確認するようにしています。すると、人間関係などのソフト面ではなく『暑い・寒い』といったハード面の課題であることがわかるケースもあり、会社としてできる範囲で迅速に環境改善を図っています。」
地域産業保健センターなどの外部機関をうまく活用しています 「ストレスチェック後の高ストレス者に対しては、医師による面接指導を受けるか、私(速水さん)とのカウンセリングを行うかを選べるようにしています。実際に、個人結果を見た従業員から相談を受け、事前面談を行ったケースがありました。当初は医師との面接に抵抗がある様子でしたが、不眠などの症状から身体的な影響も危惧されたため、改めて医師の面接指導を勧めました。その後、地元の地域産業保健センターに依頼し、登録産業医による面接指導につなげることができました。センターを通じて面接指導の結果と医師の意見書を書面で受け取り、それをもとに本人へのフォローアップを実施しました。面接を通じて、医師からの適切なアドバイスをもらったことで、本人の不安も解消されたようで、無事に終えました。」
日常の丁寧な声掛けから現場の声を聴き、皆が働きやすい環境づくりへの取組みに活かしている
最後に、職場環境改善の様々な取組みについてお話を伺った。
日常のコミュニケーションを大切に関わっています
(桝さん)
「年1回、社長と専務による役員面談を、全従業員に実施しています。ここでは人事評価や給与改定だけでなく、従業員自身が『今どう感じているか』、『今後どうしたいか』といったキャリアの意向も確認しています。その際、できていない点を責めたり、やる気を削いだりするような発言は控え、従業員がポジティブで前向きな気持ちを持てるような話し方を心がけています。」
(速水さん)
「社内相談窓口といった形式的な面談だけでなく、日常のコミュニケーションをなにより大切にしています。現場に出ている従業員が多く、全員とゆっくり面談の時間を確保するのは難しいため、年に数回の食事会や、お昼休みに電子レンジの温めを待っているちょっとしたすき間時間などに声をかけ、雑談の中で話を聴くように工夫しています。」
働きやすい職場環境づくりへ継続的に取り組んでいます 「私(速水さん)自身も、社内面談を通じて現場の苦労や大変さに深く共感できるよう、建築やアパレルの専門知識を積極的に学んでいます。今後DX化が進み職場環境が変化していく中で、どのように働きやすさを実現するかを、当事者意識を持って日々考えています。」
「以前は、従業員が困りごとを周りに言えず、一人で抱え込んでしまう状況も見受けられました。しかし、現在の取組みを通じて、早い段階でフォローアップできる体制が整ってきていると思います。例えば、建築現場が逼迫している場合は、仕事量の調整を行ったり、外部から派遣スタッフを1名追加したりと、従業員に過度な負担がかからないよう早期に対応しています。今後もこれらの取組みをさらに発展させ、仕組みづくりや体系立てた教育を進めていきたいと考えています。」
【取材協力】株式会社エム・エイ・エス
(2026年7月掲載)
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